ミケです。
書いていて、あれ?って思ったことがあります。
そう。
確かに嬢の声は固定電話からのものでした。
ということは携帯、いえ当時普及していたPHS、通称”ピッチ”ではなかったということを意味します。
当時はまだ横浜に住んでいたはず。
とすると?はて?
NAVITIMEで調べました。
あぁ、浅草から通ってた時期も確かにありました。
京急線から都営浅草線に乗り入れて。
会社も近かったのかな?
夕方、松屋の近くのガード下で送迎車を待っていた記憶が甦ってきました。
でも、鮮明に覚えているのは鶯谷駅の南口なんです。
今のNew Days(売店)の横にあった公衆電話からよく送迎車を呼んでいました。
では送迎車に乗り込んだのは坂を下った要伝寺の前?
記憶が定かでありません。
北口のみずほ銀行のATM前や向かいの喫茶店の前ってのもありましたね。
どこら辺からピッチを使い始めたのか・・・?
さて、彼女の留守電に残っていたメッセージとは―
コロコロとした特徴のあるしゃべり方で
「こんにちは。どうしていますか?私は代わり映えしない・・今日この頃です。」
ちょっと考えながらしゃべっているらしく、文章が変だ。
少し溜めて
「・・・今度やめることになりました。会いに来てくれたら嬉しいです。」
?!!!
私は思わず頽(くずお)れて、しばらく思考が止まった。
慌てて、再生を繰り返す。
何度聞いても内容は同じだった。
辞めてしまう・・・
なんで・・・
かけ直した・・・かな?
多分繋がらなかっただろうとは思う。
お店に電話をかけてダブルの予約をする。
姫予約はありそうでこの時代はなかったような気がする。
※姫予約とは嬢が直接客から受ける予約のことで、店が予約開始前だとほぼ確実に取れる。
前提として嬢との連絡がとれなければならないし、固定電話が主流な時代ではほぼ嬢が捕まらないからだ。
巧者はポケベルを使っていたのかも知れないが。
当日、Wで取ったことを笑って
「話だけだよ?」
と念を押され、快諾する。
マットを終え、少し話を聞く。
本当に辞めちゃうの?
「うん・・・もう決めたことだから。」
悲しいよ。今度はどんなことするの?
「少し休んで考える」
辞めても会ってくれる?
「う~ん・・・」
こんなところで、あなたのような素敵な女性に会って本当に嬉しかったんだ!
言った瞬間、じっと見つめられ
「お兄さんさ・・・」
えッ?!
目が冷たい。
「いうに事欠いて、『こんなところ』?」
「『こんなところ』でも私たちは働いてるんだよ」
え?そんな・・・どんなに嬉しかったか伝えたかっただけなのに・・・
「お兄さんの言葉には人を見下したとこあるんだよね。わかってる?」
一番言われたくない言葉だ・・・
「さぁ終わりにしましょ。服着て」
まだ2時間も経っていない。
「もうお兄さんとは一緒にいられないから。じゃあねバイバイ」
泣いた。
『吉原御免状』を読んで吉原に憧れた。
主人公、松永誠一郎の人柄に憧れた。
松永誠一郎は決してこの日の私のように相方を傷つけない。
私は彼と正反対のことをしていた。
