ミケです。

あれから月1ペースの登楼に戻り、店外デートの話はしなくなった。
ところが、2~3ヶ月経った頃。
仕事中にメールが入る。
通話やメール機能はほとんど使わない寂しいPHSに、である。
送信者はユカリだった。
連絡が欲しいという、たったそれだけの内容だった。
嬉しかったのか、一大事と思ったのか、今となってはわからない。
いや、きっと嬉しかったのだろう。
4年間、ユカリから始まるメールは一遍もなかったのだから。
急いで職場を抜け出し、ユカリに電話をした。
普通、考えられないことが起こっていた。
ホテルからのSOSだった。
早朝にチェックインし、持ち合わせがなくチェックアウトできない状態だという。
『めぞん一刻』のワンシーンを思い出した。
同作品では、朱美さんが一緒にホテルに入った男に逃げられ、五代君にお金を立て替えさせる、という話だ。
朱美さん:一刻館というアパートの住人。ホステス。スケスケのランジェリーで館内を徘徊。
五代君:主人公。同アパートの住人。浪人だったが、三流大学に合格。一刻館の管理人(未亡人で美人)に思いを寄せている。
その後、ホテルから朱美さんと一緒に出てきた五代君がこずえちゃんに見られる、という展開になる。
こずえちゃん:五代君のバイト仲間でガールフレンド。
が、私には見られて困るような仕事仲間もガールフレンドもいない。
仕事中だったので、仕事がおわってから行く約束をし、職場に戻った。
