ミケです。
訂正です。
『転スラ日記』
面白いです。
第1回が起伏がなく
「えっ!?これで終わり?」
っていうものでしたので。

あれからどのくらい経ったのであろうか。
店に行ったのかさえ記憶に定かでない。
ある日、ユカリから電話がかかってきて、いきなり10万円貸してほしいと言い出した。
金の貸し借りの相談を受けるなど、私の人生では前代未聞のことだった。
只でさえユカリの店に行くために、節約に節約を重ねなければいけない状態であった。
更に10万・・・
これを捻出するためには、なけなしの貯蓄を切り崩すしかなかった。
これは大学の卒業の時に成績優秀者に送られたものだ。
くだらない大学だったが、唯一自分の力で奪い返した金である。
出したのは親であるが。
当時から手付かずで、減りもしなかったが、増えてもいなかった。
この金を切り崩すのは抵抗があった。
返ってくるのだろうか?
即答はできなかった。
結局、何時間か後に貸すことに決め、三ノ輪のカラオケボックスで会うことにした。
カラオケボックスにはユカリが先に来ていた。
歌も歌わずメニューを見ながら足を広げてソファーに座っていた。
この日は店で着るような、薄くてヒラヒラしたワンピースだったので、不思議とだらしなくは見えなかった。
横に座った。
何も頼んでいなかったようなので、ドリンクだけ頼んだ。
さて・・・
借用書を書かせる準備をしていった。
誰かが
“金を貸す時はあげるつもりでやれ”
と言っていたが当時の私にはこの警告は響いていなかった。
