ミケです。
あれから半月も経たないうちにユカリから電話が掛かってきた。
「今日暇?」
恋人も遊び相手もいない孤独なサラリーマンである。
暇だけど・・・
「じゃ会ってよ」
店に行く金なんかないよ・・
「ううん、外で会おうって言ってんの。お金はこないだ借りちゃったから少しでいいよ」
結局取るんかい!
思わずツッコミそうになる。
いくら?
取り敢えず聞いてみる。
「ご飯食べて、ホテル行って、1万円」
・・・安い、のか?
確かに貸付がなかったらこれほど安いものはない。
だが・・・
「ご飯はさ、安いところでいいから」
畳み掛けるようにしゃべる。
としても飯代とホテル代で1万、合計2万だよなぁ・・
まあいいか。
どうせ店に行ったら倍以上掛かるんだし。
などとユカリを待たせて考える。
いいよ。
「やった!じゃぁまた仕事終わったら電話して。お仕事がんばってね、チュッ」
・・・調子のいい女だ( ´Д`)=3
てか、こんなキャラだったか?
まぁいい。
仕事が終わり、西日暮里で待ち合わせることにした。
何を食ったかなんて覚えちゃいない。
だが、入ったホテルは覚えている。
プレステージ。
あの鶯谷の地獄のようなホテルに比べたら、正に天国のように清潔で今風な造りだ。
特別凝ったデザインでもないが、休憩で入るには十分であり、お手頃な値段だ。
※20年以上前の話です。
ここに来て、漸くユカリが自分のことを喋りだした。
