ミケです。

私は芸能界にはあまり興味がない。
そのため、店で会っている時はほとんどこの手の話はしなかった。
ホテルに入るとテレビがあり、ユカリは自然な振る舞いでそのスイッチを入れた。
VODはまだなかったと思うが、コインを入れて見るテレビでもなかったような気がする。
「SMAP出てる番組ないかな?」
チャンネルを片っ端から見ているユカリ。
SMAP好きなんだ?誰が好き?
「キムタク」
割とミーハーなようだ。
そういえば、写メ日記に半グレ系の出で立ちが好きとか書いていたっけ。
姐さんにそんなこと書くんじゃないって言われて、ソッコー消したとも。
「あっ出てる出てる。」
クリスマスも近いので、特番といったらSMAPが定番だった。
もう私の方は見ない。
「シャワー先に浴びてきていいよ。」
え?一緒に・・・
「狭いでしょ。もし心配ならお財布持ってって構わないから」
そうなのだ。
店でない場所で会うということは、いくら面識があろうと盗難の可能性があるということだ。
ユカリの方から言ってくるとはなかなか修羅場をくぐっているな、と思った。
じゃお言葉に甘えて・・・
ホテルのユニットバスでは脱衣かごなんていうものはない。
どこに置くかウロウロしていると
「さっきセブンでもらった袋あるでしょ」
と言ってしわくちゃに丸めたビニール袋を広げる。
「ここに入れて内側のノブに吊り下げとけばいい」
ふへ~・・・大したもんだ。
妙なところに感心していると
「中学の時からテレクラとかやってたからね」
笑ってまたテレビの前に戻っていく。
中学!?それはまた凄まじいな。
「山田花子に似てるって言って会うと大抵喜ばれたよ」
そりゃそうだろ(笑)
しかしなんだその喜ばせ方は。
それにしても、である。
本当に、凄まじい人生を送ってきたのだな
とユカリのテレビを見ながら笑う後ろ姿を見ながら思うのだった。
