ユカリ(18)

ミケです。

私は芸能界にはあまり興味がない。

そのため、店で会っている時はほとんどこの手の話はしなかった。

ホテルに入るとテレビがあり、ユカリは自然な振る舞いでそのスイッチを入れた。

VODはまだなかったと思うが、コインを入れて見るテレビでもなかったような気がする。

「SMAP出てる番組ないかな?」

チャンネルを片っ端から見ているユカリ。

SMAP好きなんだ?誰が好き?

「キムタク」

割とミーハーなようだ。

そういえば、写メ日記に半グレ系の出で立ちが好きとか書いていたっけ。

姐さんにそんなこと書くんじゃないって言われて、ソッコー消したとも。

「あっ出てる出てる。」

クリスマスも近いので、特番といったらSMAPが定番だった。

もう私の方は見ない。

「シャワー先に浴びてきていいよ。」

え?一緒に・・・

「狭いでしょ。もし心配ならお財布持ってって構わないから」

そうなのだ。

店でない場所で会うということは、いくら面識があろうと盗難の可能性があるということだ。

ユカリの方から言ってくるとはなかなか修羅場をくぐっているな、と思った。

じゃお言葉に甘えて・・・

ホテルのユニットバスでは脱衣かごなんていうものはない。

どこに置くかウロウロしていると

「さっきセブンでもらった袋あるでしょ」

と言ってしわくちゃに丸めたビニール袋を広げる。

「ここに入れて内側のノブに吊り下げとけばいい」

ふへ~・・・大したもんだ。

妙なところに感心していると

「中学の時からテレクラとかやってたからね」

笑ってまたテレビの前に戻っていく。

中学!?それはまた凄まじいな。

「山田花子に似てるって言って会うと大抵喜ばれたよ」

そりゃそうだろ(笑)

しかしなんだその喜ばせ方は。

それにしても、である。

本当に、凄まじい人生を送ってきたのだな

とユカリのテレビを見ながら笑う後ろ姿を見ながら思うのだった。

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投稿者: mikenojo

♂貧乏サラリーマン。 身体障がい者。